【BLOG更新】定価超えでの転売って結局どうなの?アリ?ナシ?
当店は物を売る、所謂❝物販❞のお店です。
美容師さんやマッサージ師さんのような技術料をベースに売上を作っていくお店とは違いますので、売上を作るための買っていただく商品を仕入れなければなりません。
ここが小売業の面白いところであり、難しいところでもあります。
売れると思った商品が全然売れなかったり、これ売れんのか?と思いつつも社内会議やメーカー・問屋さんの推しに乗って仕入れてみたら爆売れ!なんてことも多々あります。
じゃあ売れ残った商品はどうなるの?
値下げして売る。
基本的にはこれに尽きます。
その他各企業さん毎に様々な努力をしてどうにか売っているのです。
ですが、在庫で余りに余って二束三文で売ったのに、通販サイトでその商品が定価の2倍超えで取引が行われていることもザラです。
話題の商品が市場に出回っていない中、それらを通販サイトに高値で転売する、❝転売ヤー❞なる言葉が出来るほど、昨今では転売を生業にされている方がいらっしゃる一方、一般の方でも本職とは別に隙間時間で転売をしてお金を稼ぐことも出来る世の中です。
資本主義社会である以上、メーカーサイドの希望小売価格(定価)を超える値段がつくのはある意味で、商品価値が高いと証明しているようなものなので、転売ヤーに反対表明してるメーカーの中にも、どこまで本気で言っているのかわからないとこもあると思います。
商売には❝三方よし❞という言葉があります。
この言葉は、江戸時代から日本全国で活躍する近江商人が商売をするときに大切にしていたもので、三方とは、相手(買い手)、自分(売り手)、みんな(世間)のことで、今風に言う『win-win』をさらに上回る世間にまで配慮する非常に深い言葉です。
近江の国(現在の滋賀県)が栄えたのは、江戸や尾張から東海道五十三次で京の都の目指してやってきた人たちの最後の宿場町が大津ということに由来して、人の往来や商売が活発だったからだと大津の方から聞いたことがあります。
近江から全国に優秀な商人が拡がっていったことを思えば、『三方よし』は商売人にはなかなか説得力のある言葉ではないかと思います。
自分だけが良いと思っていれば、極端な話犯罪でもなんでもアリです。
オレオレ詐欺や結婚詐欺なんかは、自分以外誰も得をしない最底辺なお金の稼ぎ方です。
こういう連中は確実に地獄に落ちます。ろくな死に方をしません。来世は大変だと思います。
転売ヤーに話を戻して、私自身定価超えでの販売は、ある程度は自由経済なのでしょうがないと思うのですが、子どもさんを対象にしたものについては止めてほしいと思います。
大人を対象にしたものであれば、自分自身で考えて高ければ買わないと決められるのですが、お子さんを対象とした商品の場合は、お子さん自身の所持金はお小遣いなどの少額でやりくりしていますし、そこを配慮してメーカーさんも価格設定されていると思います。
親御さんから見ても、定価を大きく超えると生活費との兼ね合いもあるので買ってあげたいのに買ってあげられなくなります。
良いものを作ったのに世に行き渡らないとなると、その業界やそのコンテンツがこれから発展していきますか?と疑問に思います。
私の案としては、初回生産量は今まで通りでまずは販売する。
※民間企業である以上赤字を出してでもやるべきではない。
その後通販サイトで販売価格が定価を大きく上回っている場合は、〇〇頃までに再生産します、と早急に告知して販売店とタッグを組んで再生産での予約もとれば良いと思います。
そして、予約は一人〇個まで、と決める。前金預かりで。
なぜ金額が上がっているかというと、「欲しいのに手に入らない。早く手に入れたい。いつになったら手に入るんだ?」と、時期が未定になっていることが大きく関係していると思うのです。
「〇月×日までに手に入るなら待とうかな。」と時期がわかれば待てる方はいらっしゃいますし、それだけで転売ヤーには打撃です。
それでも今すぐ欲しくて高騰した価格も了承して買うのは「商品+時間」を買うという論理なのでそれはそれで良いと思います。
もう一つの案は、『発売後〇か月は定価を超えた転売を禁止する』のような法律を作る。
こうでもしないと悪質転売ヤーが子どもたちから楽しみを奪うことを止められません。
現状は大手量販店さんは話題の商品が品薄で入ってきた場合は抽選や先着順を採用しています。
本来は予約制がいいんでしょうけど、仕入問屋さんからの数量割り振りで入荷数が直前までわかんないこともあるので、渡せるかわかんないのに予約受けてトラブルになる可能性もありますからね。
抽選制は整理券を求める行列でごった返して、先着順にすると夜中とかから並びだす問題で大手量販店さんもやりようがない状況ですよね。
ちなみに当店は抽選制はせず、出来る限り予約制にしています。
『発売日or欲しい日までにお渡しできるかわかりませんが…』の言葉を添えて予約をお受けしていますが、良心的なお客様に支えられているので今のところトラブルはありません。
そもそも買い物は誰しもが安く済ませたいものです。
しかし、ある程度の価格(メーカー希望小売価格)を維持しないと、メーカーも作り続けることは出来ませんし、販売店も売り続けることが出来ません。
消費者もある程度の価格じゃないと、買い続けることは出来ません。
売り手が決めた価格を買い手が了承して買おうとする横から、欲しくもない商品を買って、買い手心理を逆手に価格を高騰させてその利幅をかすめ取ろうとするのは、本来の物流ラインに存在しない招かれざる客が現れて、無駄な費用を増やしたと言わざるを得ませんし、個人的には倫理観が欠如してると思います。
矛盾する考えかもしれませんが、個人が持っている、あるいはどこかで見つけたレトロ品は時間が価値を高めたという意味で高値になることがむしろ面白いとも思っているのですが…。
テレビ東京系で放送されている『開運!なんでも鑑定団』という番組は、そういう時間の積み重ねで価値が上がった骨董品についてびっくりする価格査定をするのが売りなわけですし、持っていた人に「よくぞ、あの時代に作ったものを何世紀も跨いで保存して下さった。その価値がこれにはあるのです。」という思いが込もってる気がしないでもないです。
「道徳なき経済は犯罪、経済なき道徳は寝言」と二宮尊徳が語っているように、転売ヤーさん達には資本主義において弱者となる子どもたちに対しての幾分かのご配慮をいただけると幸いです。
転売ヤーが商品価値をある意味で高める存在であるし、そもそも犯罪ではないので止めろとは言いませんが、商売を長く続ける意思があるのであれば、是非近江商人や二宮尊徳の言葉を胸に経済活動をしていただけると嬉しいです。
あまりに目先の利益を追求しすぎて暴利な価格設定をし続けていると、過去に転売ヤーによって悲しい思いをした子どもたちから将来大人になったときにとんでもないしっぺ返しがくるかもしれません。
因果応報。
そうならないよう気をつけましょう。